東京高等裁判所 昭和44年(ラ)223号 決定
抗告人の抗告の趣旨は、「一、原決定はこれを取消す。二、本件建物内に存する抗告人所有の造作等につき、相手方が昭和四一年一〇月一三日ごろなした撤去処分は違法であることを確認する。三、東京地方裁判所執行官は相手方が撤去処分によりなした現状変更を原状に回復せよ。四、申立費用は一、二審とも相手方の負担とする。」というにあり抗告の理由は、別紙記載のとおりである。
しかしながら、建物に対する債務者の占有を解いて執行官の保管に付し、執行官は債権者にその使用を許さねばならないとする仮処分においては、執行官は目的建物を保管する職責を有するにしても、使用を許された債権者が本件におけるように当該建物について既設の造作等を撤去するという現状の変更を加えた場合、執行官の前記職責として、右造作等をその撤去前の原状に回復させなければならないものとはいえない。抗告人の本件執行方法に関する異議申立のうち右と異る見解に立つて執行官に原状の回復を求める部分は失当といわざるを得ない。また本件異議申立において相手方たる債権者がなした造作等の撤去につきその違法確認を求める部分は執行方法に関する異議により申立てることが許されぬところであるから、不適法である。それ故同旨の原決定は相当であつて、以上に反する論旨は理由がない。なお、所論のうち、裁判の遅延、不平等な取扱いを理由に原決定を違憲とする論旨は肯認できず、本件仮処分命令自体の実体上、手続上の違法をいう論旨は、適法な抗告理由に当らない。よつて論旨はすべて採用できないから、本件抗告を棄却することにして、主文のとおり決定する。
(岸上 横地 田中)